雑踏の 誰に会いたり 後の月

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秘密の話をするなら、
人がたくさんいるところがいいかもしれない。
いろんな声に紛れて、
大切なことは誰にも知られない。

秘密の話を書き留めるなら、
普通のノート、普通のメモ帳、
普通の記録の中に紛れ込ませるほうがいいかもしれない。
日常の中に挟まって、
優先順位すら忘れる。

だけど、どこにでも、
耳があって、目があって、
ふとした話が入ってきたり、
ふと見た小さなメモ帳に書いてあることの、
意味をわかってしまうかもしれない。

じゃあ秘密の場所で密談したり、
鍵のかかる日記帳にでも記しておいたほうがいい?

それはそれでいかにも意味ありげ。
意味ありげなものに、人は興味を持つもの。
自分に関係なくても、
そっと盗み聞きしたくならない?

秘密はひとりの胸にしまっておくのが、
いちばん誰にも知られない。