秋雨の 雫数えて 時の過ぐ

知らないうちに窓の向こうの景色が変わっていた。
知らないうちに吹く風の匂いが変わっていた。
嵐が通り過ぎるのを待つように、
夏が終わるのを待って、
ただ縮こまっていたから気がづかなかった。

なんども恨み言をいった。
暑過ぎる、外に出たくない、具合が悪い。
それは全て真実だったけれど、
時の移ろいに目は向けていなかった。

余裕がなかった。
その一言でも片付けられる。
つもりもなかった。
その一言も付け加えられる。

日傘を持って、おそるおそる外に出てみたら、
まるで手招きをするように、
秋の気配がそこここにあって、
私はなんとなく背筋を伸ばして、歩いてみたりした。