背の君の 影を追いたり 虫の夜

そっと考えてみる。
あなたがいる世界。
それは闇に一点の明かりが灯ったよう。
どれほど心が温まるだろう。

そっと考えてみる。
あなたを奪われた世界。
それは太陽が沈んだ後の海のよう。
波の音さえ黒く響く。

私はいつもそのどちらかの世界を向いて、
笑ったり泣いたり、
喜んだり落ち込んだりしている。
不思議なことに、二つの世界は
全く正反対に見えるのに、
表と裏で繋がっている。