天地の 実り戴く 秋夜かな

田を耕して種を植え、
水をやり、雑草を取って、
時折話しかけながら、
育ててきたもの。
時間も手間も、
陽の光も土の温もりも、
費やされてきた全てがその実に詰まっている。
育ての春夏を経て、
秋は実りの時。

そして私たちは、
そしてあなたと私は、
一緒になってずいぶん経つ。
その間、
いつだって、実りの瞬間で、
いつだって、育ての瞬間だった。
人との間では、
育てと実り、両方が感じ取れるものなのだ。
そして、両方を感じ取るには、
なにより自分の心が育っていなくてはならないのだ。

それがいちばん難しいけれど。

そんなことを思いながら、
実りのひと皿を、ぱくり。