金風や 彼の日の雄姿 刻まれて

やっと来た。
何度も画面越しに見た、
この場所へ。

そりゃあ、この目で見たかった。
手に入るはずのチケットを思って、
知らずのうちに苦い顔になった。
あの時、ここで、
大歓声が聞こえたはずなのに。
私もそのひとりだったのに。

誰かに言いたいことはたくさんある。
だけど、結局夢中だったよね。
毎日競技をチェックしては、
テレビをつけていた。
届かなくても、
声をあげて応援した。

仕方ないことだったと分かってる。
だけど、ものすごく心残りだったから、
悔しくてここへ来るのを控えてた。
だけど、あの興奮は忘れられなくて、
気が付いたら、足を向けていた。

ああ、
あの日々をともに過ごしたすべての人が、
その何千万もの熱気が、
ここに集約されている。