嘘ものの 食べられもせず 水温む

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人には得手と不得手があって、
もちろん私にもあるのだけれど、
不得手の一つに、人を嫌いになること、がある。
何をされても、何を言われても、
結局は相手を嫌いになれない。

だって、私に向けられた言葉には、
それがどんなにひどいものであったとしても、
ある程度の真実を含んでいるのだろうし、
私が放った言葉も、
その人の中でどう解釈されて、
どう傷つけたかは、
計り知れない。

だからこそ、どんな言葉を投げつけられても仕方がないし、
嫌いになれないし、
また同時に、その人の言葉の意味を理解したいとも思う。

ただ、近しい人や、
友人に向けられた言葉には、
腹の底から憤りが吹き出てくることもあって、
その怒りに気づくと、
私も「嫌」という感情があるのだと再確認する。

とはいえ、どんな人も、縁あって近しいところにいる人。
そんな人は数えるほどもいないから、
何をいわれたとしても、何をされたとしても、
結局はやっぱり、嫌いにはなれない。