瞬けど 流るる風の 朧かな

風の吹くのに従って、
右を向き、左を伺い、
そのうち花びら全てを手放す。
桜の心持は、
私たちと似ている。

幸せって何だろう。
陽の光の下にいることだろうか。
風に身を任せて、
空の近くをさまようことだろうか。

答えは、本当は聞かなくたって知っている。
この色が、全てを表している。
二人きりの散歩の途中、
枝垂れる桜の花びらに、
指先でそっと触れた。