手渡しの 温みは甘み 夏の旅

お土産って、いつも不思議な味。
まだ見ぬ土地の、まだ見ぬ人の作った、
この時一度限りかもしれない味。
テレビで見てその地に行こうと思う人はいるけれど、
お土産の味で旅行を決める人はいないだろうと思う。

そうでもないか。
だって、お土産って、お土産話と一緒にいただくものだもの。

今食べているしっとりと甘いものは、
緑の濃いところで育った植物と、
血も喜びもあったであろう文化の味なのね。
あなたの目で見たかの地を瞼に浮かべながら、
話だけでは物足りない、
行ってこの目で確かめてみたい、
そう思って、舌先でパイナップルの甘味を転がした。
(一緒に行ってくれといいなぁ、とも思ってますケド)