土の芽の 伸びる速さや 夏の宵

初めてのデートは、
河の見える土手にいった。
夕闇が影を段々に濃くする宵の口、
私たちはただ見つめあっただけ。
言葉なんかで確かめあってはいないのに、
降りてきた唇のその熱さ。
夏だと感じた。

たっぷり水を含んだ空気と、
冬の間栄養を蓄えた土。
太陽が充分に照らした
その温度にほだされて、
夏は恋が加速する。