緩冬も 哀しみの鳴く 海辺かな

冬が厳しくて辛いことは、
誰だって毎年身にしみて感じるだろうけれど、
少しだけ緩んだこんな日にも、
哀しさを覚えるものだと、
私は今日初めて気付いた。

海の風でも感じることができれば、
多少は気が晴れるのかと、
だんまり一時間電車に乗ってやってきたけど、
高く昇る雲を見つめても、
私の心は厳しくて辛いまま。

ただ、あなたのひと言。
それを待って待って待っている。

だけど、待ったままで心は動かない。
だから私はこの場から動けない。
海の上、空の下では、
名も知らない鳥が自由に舞っている。