あの街の 秋の夜長や ときめいて

秋の夜長には、
飲み物が合う。
傍らに置いて、
ページをいくつかめくったあとに、
ふと気付いたように口に運ぶ。

一年で一番いろいろな感情を覚えるのは、
秋だと思う。
あの物語もこの物語も、
誰かの心をなぞっていて、
それが私に響く度に、
苦しくなったり、楽しくなったり、ときめいたりして、
飲み物を口に運ぶ。

実際には、
幸せなことばかりおこってほしい。
不幸など、感じたくはないし、
本当の不幸は、長引く。

けれども、本であれば。

秋には、人生の様々なことを学べる。
だから秋がくるごとに、
一つずつでもいいから、
階段を上りたいものだと思う。