どの鳥の いかに鳴くなり 朧月

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自分の声でしか鳴けない。
それは誰もが同じ。
あの人のように謳いたいと思っても、
自分の声は自分の声。
他に代われはしない。

訴えたいことがあって、
どうしても伝えたいこともあって、
懸命に喉を震わす。
けれども届かない。
私の声では。

それでも鳴き続けていたら、
いつか声帯が強くなって、
届くのだろうか。
あきらめずにくちばしを動かし、
その先を見つめ続けていたならば。

自分の声でしか鳴けない。
それは、分かった。
もうしばらくこの世を生きてきたから、
たった数十年だといえども、
それはじゅうぶんな経験。

そして、もう一つだけ学んだ。
鳴き続けていると、
自分の声は変わる。
だから、思いもよらぬときに、
誰かに響いたりするかもしれない。