別れ路や ひきがえる鳴き 時告げる

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どんな小さな葉の下にも、命がある。
それがいかにちっぽけに見えたとしても、
全力で足掻いたものだけが表に出れる。

私はそれを横目で見ながら、
その夜帰途についた。
忙しい日々の合間に、
時折突きつけられる、今というもの。

それは時々、
仕事ばかりで他が見えていないということだったり、
これぞと思って提案した企画の、
哀しいほどのけなされようだったり、
窓の外を見てみれば、
思ったよりも早く季節が変わっているということだったり。

帰り際に、ひきがえるが鳴いていた。
嬉しい声なのかあるいは哀しいものなのかは分からないけれど、
ふと、一生懸命生きているのだろうということを、まるで悟るように気付く。
そうしたら、その泣き声の端々がいやに胸に刺さった。