春賑の いつか歴史と なりにけり

どんな人がいて、  
どんな笑いがあって、
どんな涙があって、
どんな何かがあったのか。
もう二度と意味をなさないプラットフォームを見ながら息をついた。

私だって、ここに思い出がある。
あの階段の下で、 あの人に会った。
頬が異常に熱かったのだって、
あなたのくちびるばかり見ていたのも、
覚えている。

あの人もその人も、
立ち止まってシャッターを切る皆に、
何か思い起こすことがあるのだろう。
これから、
新しい建物が立って、
新しいだれかとの歴史を作っていくのだとしても、
あの階段の下がなくなるのは、
過去がなくなるようで、
やはりとても悲しい。