いくつめの 手を伸ばしたる 皿の上

夜遅くに帰ってきたあなたが、
ご機嫌で差し出してきたのは、
粒のそろった苺だった。
取引先の人にもらったんだ。
小鼻が膨らんでて子どもみたい。

つややかな苺は、
さっと洗ってヘタを取って、
お皿に盛る前に、
一粒、つまんで口に入れてみた。

甘い。
思わず目を閉じてしまうほど。

着換えてきたあなたは、
俺も俺もって、
奪うようにして赤い実を食べた。
そして、酔ってるんでしょう、
とっても満足そうに私にキスをした。