金の環や たたずむ朝の 尊さよ

あきらめていた。
この想いが通じることはない。
それどころか、
口にすることもできないだろう。
叶わぬ恋をしたのだから、
叶わぬままに終えなければならないと。

確かに何度も願いはした。
筋が見えるような陽の光に。
灰色の空を割って輝く七色の虹に。
その後ろにいるかもしれない大いなるものに
もしできるならと、
何度も呼びかけはした。

この朝が来るまで、
奇跡という言葉は、
あり得ないことと同じ意味をなしていた。
信じられないという気持ちは、
おこりもしないことへと使うものだった。

けれども。
ああ、けれども。

その朝の誘い。
二人で見上げた空。

その金の環が、
誰も目にしたことのなかった輝きが、
この人生を枠取るなんて。