秋空や 昨日のしみも 滲みなし

秋の空は怖い。
透き通った空気が連なるみたいだから。
あの空の向こうも、そのまた向こうも、
見透かせる気がする。

秋の空は足が震える。
見上げても、終わりがないから。
その向こうは何万光年も先に繋がっていると、
肌で感じられて、怖くなる。

地球は重力があるけれど、
その分私たちは、
周りを包む宇宙の中にあって、
上を向いているのか、下を見ているのか、
分からない。

あの空の向こうでは、
どちらが上か下かは定かではないのだ。
そこでは、嬉しさも寂しさも、
天国も地獄も、
愛も憎しみも、
どちらもどちらになりうるのだろうか。