ひと房の 情けや掛けん 悼む夏

夏の終わりに、へたってしまうことはよくある。
数日、事務事項みたいな、
やらなくてはいけないことばかりで埋まると、
陰りの早くなった陽を眺めながら、
体の芯に疲れを感じる。

それはたいてい夏の終わりに起きる。
真夏のさなかに過ごした日々のことを思い返すとき、
山へ海へ街へ夜へと遊びに行って、
大声で騒ぎ、食べて飲んで、
体中に蓄えた思い出が発酵しだすころ。
なんだか感情がすべて抜け切ったようになって、
呆けた顔で外を眺めてしまうのだ。

けれどそれは、濃い日々を過ごしたことの証みたいなもの。
発酵が進んで、熟成していけば、
とろりと甘い、何かに変わる。
今はそれを待つ時間。
だから、呆けた顔で構わないから、
ただ待つことにしようと思う。