幾人の 集うや夜の 朧かな

命が儚いものだと、
感じながら暮らしている人は、
どれほどいるのだろう。
時間は限りあるものだと、
言葉の上ではわかっていても、
この瞬間をそのために生きている人は。

とはいっても、誰だって、
あれが大切な時だったと認める瞬間はある。
そういうのは実に突然、
予期しないときにやってくるものだ。
そして後から思い返して、
得難い瞬間だったと気がつく。

命が儚いのではなくて、
時が儚いのだ。
捉まえきれなかったものの、
その数の多さにそう感じる。
人というのはどうして、
その場の感情に流されるのだろうと、
昔あなたと杯をかわしたカウンターで思った。