牡丹散る くもりガラスの 古きかな


古いものが好きです。
長い間とどまっている物は、
きっと誰かの重要な思いがあるのだと感じるから。

今の私がただ素敵だと思うからだけじゃなくて、
あの時代のその人が、
長く残ってほしいと思ったから、
今ここにあるのだと考えたい。

例えば、そのガラス装飾。
誰かが、愛する人のために、
その意匠を選び頼んだはず。

例えば、中央のその模様。
誰かが、世話になった人のために、
礼を尽くして選んだはず。

その人は、どうなったのだろう。
思いは通じたのだろうか。
それとも、涙に暮れたのだろうか。

そういう誰かの歴史を知りたい。
古いものが好きだということは、
つまり、その時代に生きた人の、
その思いを 知りたいということだといまさら気が付く。