つがい鷹 標べなくとも 空青し

あの日、あなたと飛びたった。
行く先も決めず、地図も持たず。
ただ隣の温もりだけを確かなものとして。

けれど、振り返ってみれば、
明日がまったく分らなかったことはなかった。
地図がないなら誰かに聞いた。
二人だけで大空にいるつもりだったけれど、
そこにはたくさんの風があったし、
雲があったし、
太陽がいた。

行き着く先はまだ分らないけれど、
大きな地図も持っていないけれど、
今、確かなものは、温もりの他にもある。