熱気さえ 取り込む覚悟 夏の草

だいたいのことは忘れる。
細かい会話の中身とか、
自分の笑顔の行方とか。

おおかたのことは覚えてない。
どうしてけんかになったのかとか、
そのとき私が何をいったのかとか。

でも覚えていることはある。
たとえば、愛を告げたとき、
ううん、そんな完璧な瞬間でなくても、
ただ二人で陽にあたっていた時とか。

そういうのは、いつまでたっても、
そう、例えばきっと30年たっても、
同じくらいきちんとこまかく思い出せるもの。
そして、そういう瞬間が人生の太い骨組みとなっていくのだと思う。