東京の異国レストランの数の多さ。
私たちは、いながらにして、
知らない国の、
勝手にそうと思っている味に、
舌鼓を打つ。
あの国に、いったことがあるか。
そういう会話を、食べながら交わす。
農家の食事として出されたこの料理を、
それそのままとして食したことがあるか。
来訪者として訪れて、
実地の体験がある人などいるのだろうか。
いやむしろ、全ての本当を知ることなど、
あるのだろうか。
そういう疑問を抱く自分は、
今何を求めているのだろう。
胸の奥に尋ねてみても、
明瞭な答えは帰ってこない。
分からないのは、自分自身もなのだと、
ガレットの端にナイフを入れながら、思う。