遠雷の いかに近くや 涙越し

恋をしたら、いついつまでも幸せなものだと思っていた。
誰もが頬を染めて語るから。
苦しいことは、苦しくて語れもしないなんて、あのころは知らなかった。

おとぎ話の恋はたいていうまくいって、
それが力になるとか、糧になるとか、
いいことばかりが書かれている。
それは確かにそうかもしれないけれど。

空は、晴れるときもあるし、
雨の時もある。
雷みたいに、暴力的に、大きく叫ぶこともある。

でもそれは、自分におこりはしないと思っていた。
だって恋は、幸せなもののはず。

もし、幼いころから、恋が苦しいものだと知っていたら、
あなたに心ときめかせたりはしなかっただろうか。