秋雨の 過ぎ行く後の 涼しさに

哀しいことが終わったあと、
もっと哀しくなる。
思い返さないように心を保っているのに、
ひたひたと、
水の忍び寄るように、
どこからか入り込んだ哀しさが、
元からある心を増幅する。

そうして満ち渡る哀しさの中に、
結局は身を置いたまま逃れられない。
哀しみを内にしながら微笑むとしたら、
それがあくまで表面上のものだと、
あんたは気がついてくれるだろうか。

きっと、そうではないだろう。
私は上手に嘘をつける。
そうして自分を保ってきたのだから。
あの空のように澄んだ正直者のフリをして。