何もかも 影になりける 立春後

空が浅くなった。
春に向けて。
雲が地表近くに降りて来て、
その分全ての影が濃く空に写る。

長い冬が過ぎて、春が色濃く世の中にはびこると、
人は徐々に浮かれて、
芯ではなく、高く遠くを見ようとする。 

真実は、近くにいた方がよく見えるのだろうか。
それとも、遠くで観察する方がとらえられるのだろうか。

春と夏と秋と冬と、
生きることの真実を最もよくつかみ取れるのは、
いつの季節だろう。 
これから、本当の春が来る。