ひとときも いのちのかけら 呼子鳥

人の時間は有限だと、
気がついたのはいつ頃だったろう。
幼く若い時には、
言葉として知ってはいても、
理解はしていなかった。
誰かに何かが起こっても、
それがクラスメートであっても、
やはり自分の時間の終わりは、
見えないほど遠くにあった。

でも、いつからか。

だからあの時、どうしても行きたかった。
皆で行きたかった。
あそこで過ごした時間をなぞるために。
全員でなぞるために。
それが最後になるだろうと、
知っていたから。

その旅は終わった。
それでも私は生きていくし、
私という有限の中で、
あの時間は輝いている。
きっとそれは、
そのひとときひとときを、
大切に過ごしたから。

それならば、大切にする。
これからのどんなひとときも。
大切にすることで輝くと知ったから。
愛していく。
交わす会話も、言葉に滲む優しさも、
幾度も見た笑顔も、共に囲む食卓も、
いいこともわるいことも、
全部、全部。
終わりがあると知っているから。

どんないのちを生きたいか、
それは自分で定めるもの。
だとしたら、
私はそんないのちを生きたい。