薄皮を 撫でる指先 浅い春

冬将軍、そろそろいいんじゃない。
天気予報を眺めては、そう願ってばかりの毎日。
モノクロの視界の中に、
間違いかと思うくらい小さなピンクを見つけた。

唇を尖らせる私よりずっと我慢強く、
冬の過ぎるのを待っていたんでしょう。
今冬は雪も降ったのに、
その中、じっと様子をうかがって。

感慨深くて、じっと見つめてしまいました。
太陽が照る時間も短くて、
そうでなくても空気が冷たいのに、
じっと耐えてきたんだね。

もうちょっと我慢するから。
あの花が咲いたら、
ピンク色があたりを染めたら、
一緒に出掛けよう。

そう呟いてみたって、
あなたは今日も帰りが遅い。