その轍の 行く先遥か 雨蛙

線路を行くのは鉄道だけではない。
今日も小さな雨蛙が、
その緑の背中反り返らせながら、
一飛び、二飛び西に向かう。

くすくす笑いを繰り返しながら、
私たちも線路を歩く。
ときたま気笛の音がして、
その度に近くの草むらで身をかがめるけれど、
すぎ去ればまた両手を振って、
丘の向こうまで続く路を行く。

このままいけばあの街にたどり着く。
だけど、皆が知っているのだ。
そこは終点じゃない。
そこから旅立つときにどの線路を選ぶのか、
それは見てみなければわからない。