傍寄れば 小声も響く 案山子かな

憧れ。
あなたの姿を見つけたら、
あなたにわからないくらい遠くから、 じっと見つめる。
たまたま、近くに寄ってきてくれることがあったら、
そうとはわからないほど静かに、 胸を高ぶらせる。
もし、声をかけられたりしたら、
一度は咳払いでもして、のどの調子を確かめる。
会話の後は、何度も、それこそ何度も、 その詳細まで思い浮かべる。
その時のあなたの表情、声の響き、
 私自身の受け答え。
ふと考えれば、それは徐々に理想化されていくのだけれど、
きっとそういうものなのだ。
憧れ、というのは。