春初め いたずらに咲き 惑わさん

初めてのことには、
人はたいてい夢中になる。
新しい季節や、
新しい友達、
新しい制服に、
新しく与えられたおもちゃ。

自分で得ようとしたものには、
人はたいてい夢中になる。
すごく頑張って入った学校や、
一生懸命働いて手に入れた車。
やっと習得した蕎麦の作り方に、
あなたへのお酌のしかた。

あなたの周りに初めてが溢れているのは、
どういうことなのかと時折首をかしげる。
一緒にいるようになって幾年も経つのに、
人をひとり知る、ということは、
新しいことばかりなのだと、
今さらのように、嬉しくなったり。