過ぎ行けど 陽炎立つや 焔影

深い冬の恨みが、
陽炎になって揺れる。
怨みを込めて過ごしてきた日々が、
表面にどんどん噴出してくる。

この冬、本当につらかった。
寒い日々、ひとりきり、
身を縮ませて、空気の様子をうかがった。
肩を丸めて、足を屈めて、
体中に恨みを募らせていたのだ。

嬉しい、より前に、
ずっと感じていた苦しさを、
ぶつけずにはいられない。
見当違いと言うだろうけれど。

そんな私でも、空の光は優しくて、
同じ濃度の暖かさをくれる。
私は本能のどこかで、
いつしかこの恨みも溶けきると感じる。
そのとき私は、やっと 春を享受できるのだ。