すれ違うということは哀しい。
一瞬の交わり。
それが笑顔だったのか涙だったのか、
はっきりと判別がつく前に、
永遠に遠くへと離れゆく。
これまでたくさんの別れを経験してきたから、
人と人というのは、
例えば電車のすれ違いのようなものだと思っていた。
人の生きる時間からみたら、
一瞬と行っていいほどの交わりを経て、
それぞれの道へと進む。
だからこそ、寂しかった。
だけど、人として生まれたからには、仕方ない。
唇を噛んで、耐えた。
けれど、あなたに会って、
添い遂げたいと願ってから、
人は、必ずしもすれ違うのではないと、
そう感じている。
なぜ電車などに例えようと思ったのだろう。
人は手をつないで日々を生きるのだ。
それを、どうしてレールを走るもので例えられよう。