金風の 人恋しさや 囲炉裏端

寒くなったと感じると、
あなたが恋しくなる。
またね、と手を振ったのは今朝のことなのに、
頬のあたりに冷たい風を感じると、
あなたの肌の熱さを思い出す。

昔の人は囲炉裏なんてすてきなものを考えたと思う。
暖炉なら一列にしか座れないけど、
囲炉裏なら、角同士で隣り合える。
二人で温まりながら、
顔を見て話ができる。

寒くなったと感じると、
あの冬二人で行った山の家を思い出す。
夜も更けて火の小さくなった囲炉裏で、
たくさんのことを話した。
肌を合わせたわけではないのに、
それと同じくらい甘い記憶。