君なしで いずこに行かん 冬木立

ひとりだった。
風の音もしない、空気も冷たい、暗い木立の中。

本当にひとりきりになることなんてないのにね。
息をひそめる小さな動物や、枯木の陰の虫たち、
冬も緑の枝葉が、私を見つめている。

でも、やっぱりひとりだった。
だって、あなたがいない。
太陽がなければ、どんな景色だって見えないでしょう。
真っ暗だったら、ひとりぼっち。

全てはあなたがいてこそ。

一緒にいて。
呟きは、木々の間を縫って、黒の空へと消えた。