大衆の それぞれの道 蜜柑花

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世の中にブリューゲルの「バベルの塔」はふたつありまして、
ひとつはウィーンの美術史美術館に、
もうひとつはロッテルダムのボイマンス=ファン・ブーニンゲン美術館にあります。
ロッテルダムの方が、塔の完成により近い状態です。

ウィーンのものに比べると大きくない(60×75cmくらい)のですが、
まあその筆の細かいこと。
虫眼鏡を近づけてもまだ足りないくらい。
しかも人の影までそれぞれの姿勢に合わせて別々に描かれているんです。

それは要するに、
ブリューゲルは、人は皆違うのだと知っていたのではないかと思います。
同じ場所で同じ仕事をしたって、
やっぱり人によって少しずつ違う。
世の中には同じ人なんていないのだと、
ブリューゲルはこの絵で(あるいは他の絵でも結構そうなのですが)、
そのことを伝えてくれているのではないかしら。

人をカテゴリー分けしないようにしていきたいと思うのです。
「あなた」がどんな人なのか、
カテゴリーではとても知りきれないと思うから。