人との出会いというのは、
まことに不思議なものだと思う。
そのいくつかはあるべきものだっただろうが、
残りのいくつかは偶然というものである。
人と出会うということは、
尊いものだとこの歳になって思う。
自分で選んだものではないのに、
人の生きるに大きく作用する。
出会うべくして出会った。
そういう人もたくさんいる。
それはそれでありがたい。
けれども、神の采配としか思えないような出会いも、
私のこれまでのなかにはいくつもあり、
そのひとつに頭を垂れたい夜がある。
そういうときというのは、
生きていて、あるいは、この世に生を受けてよかったと、
心から思う瞬間である。