屋根の下 素知らぬ間にも 夏のゆく

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夏を、死の季節だと思うようになったのは、
どのくらい前からだろう。
そう昔のことじゃない。
両手で指折り数えられるくらい。

木の幹にしがみついて鳴く蝉に、
恐ろしさを覚えるようになったのは、
いつからだっただろう。
暑い中に出て行くことが、
よくないものを予感させるようになったのは。

同時に、どうか、どうか、
大切な人たちが、
不幸に見合わないようにと祈るようになった。
自分のことは、自分で守れるけれど、
その他の誰のことも、
ほんとうには守れないのかもしれないと、
最近の夏は、身にしみてそう思う。