その頬に 不意に触れれば 水中花

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一夜限りの、
なんてことがおこるのは、夏のせいだと思う。
生暖かい風。
昼の暑さから少しばかり放たれた夜。
隠しておくべき感情が、
何かをすり抜けて出てきてしまう。

夏の魔法というものがある。
いや、そうか、身に纏うものが少ない分、
本音に近いのかもしれない。
素肌の柔らかさを、幾度も思い浮かべてしまう。

心がざわついてる。
声、視線、その指の触れる先、
会話以外の全てに、敏感になっている。
夏の奥を探るのは、
自分の奥底を知ることと似ている。