足る夜に 鈴虫響く 晒し肌

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二人きりで食事をするということは、
何やらあらぬものを予感させる。
それが夕闇迫る時刻ならなおさら。
あとに来るのは一つしかない。

向かい合わせで杯を重ねるということは、
ひた隠しにしているものを露わにする。
視線が絡み合うということの実際など、
今日の今日まで知らなかった。

耳元の吐息。
ささやきでしか伝えられない言葉。
目の前が回る。
あなたの熱。

気付けば、だなんて都合のいい言葉。
最初から分かっている。
お酒とか、夏の終わりとか、
何かのせいにしたいだけ。