来ぬ人を 無言で責める 花見酒

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すごく哀しそうな顔をしている。
少し離れたところにいる、いくらか年上の女の人。
スーツ姿は決まっているのに、
小さな日本酒の瓶が手元にあって、
空ばかりを見つめている。

私は、みんなと一緒にいるはずなのに、
しかもその人のことなんて知らないのに、
何故か目を離せない。
折ある毎にそっとそちらを向いて、
その視線が漂っているのを見ている。

どうして?
今、私は楽しい瞬間。
大好きな仲間と、
中には好きな人もいる。
幸せすぎて、笑いすぎて、ほっぺたが痛い。
その人を気にする必要なんて、どこにもないでしょう?

私、怖いのかな?
自分もいつか、ひとりで桜を眺めるかもしれないと?
今は永遠ではないのだから?