いけないと 知りつつ寄れば 風の盆

たくさんの人がいる中で、
あなたと出会った。
何万人、何億人といるなかで、
あなたと出会った。
皆、同じような顔をして、
同じような毎日を送る中で、
苦しみも悲しみも、喜びも楽しみも、
それぞれ同じように感じる大勢の中で、
あなたと出会った。

特別な人なんて、
どうやってわかるんだろう。
そう思っていたとき、
私は本当に不思議だった。
笑顔ひとつで、
天にも昇る心地になること、
怒り顔ひとつで、
これまでの人生を否定されたような気になること。

世界には知らないことがたくさんある。
そんなことはわかっていた。
けれども、
自分の中にも知らないことが
これほどたくさんあるなんて。