死んだ人は、空に向かうのだという。
その証拠みたいに、
あの人の死せる場所で空を見上げたら、
桜のフェルターがあった。
この樹、その時にはどれほど小さかったんだろう。
幾年も過ぎる中で、
一人分二人分と墓の数が増え、
百人二百人と訪れる人の数も増える。
私はそこへ立った時、一人だった。
上を見たら、桜が空のすべてを埋めている。
全うする、という言葉が浮かんだ。
私はそこまでいけるだろうか。
ここは、命の終わりのその後で続く時間がある場所なのだと思う。
誰でも、ここへ立てば何かを省みて、これからの何かを求めるだろう。