若柳 頬の膨らみ 撫でる午後

古いポストカードの、
裏に書かれた異国の言葉。
誰に宛てたものなのか、
百年以上の時を経て、
私の手元にやってきた。

恋文であればいい。
遠く、しばらく会えない想い人へ宛てた手紙であれば。
紙の端まで埋め尽くされた文字には、
隅々まで愛が詰まっていないだろうか。

そう願ってしまうのは、
古い紙の香りがするパサージュで見つけたお店で、
ぱっと目に付いたこのカードを手に取った時、
百合とオレンジの花の精と書かれた、
幼げな彼女たちの頬に触れながら
考えていたのはあなたのことだったから。