前触れを 知りつつ背く 夏蛍

一時間も経たないうちに、
きっと激しい雨が降る。
見上げれば、誰もがそう判断する空模様。
嵐が来れば命はない。
そうとわかっていつつも、
こんなチャンスはないとも考える。
勝負は五分五分。
いや空は既に黒いのだから、
負ける可能性は高い。

それでも。

唇を引き結んで、
私はスタートを切った。