時過ぎて 袴捌くや 門出かな

3月は不思議な月だ。
日本の人のほとんどが、
出会いや別れ、
何かの終わりを経験して、
来る始まりを意識する。

誰かに別れを告げた後、
どうしようもなく痛む心を押さえて、
夕暮れの観覧車にひとり乗った。

下から見知らぬ人が手を振っていて、
そう、別れの季節なのだと、
身に染みて思う。
あの人は、このゴンドラに、
本当は誰を見たのだろうか。
空陰る中、
明日へと繋がる人だといいけれど。