秋暮れて 筆に命を 託したり

彼は秘密主義だったらしい。
すべては絵に宿ると思っていたのだろうか。
子供の誕生も、愛する人のことも、
公けにしなかった。

負けず嫌いだったらしい。
アカデミーのほかの会員に批難されても、
自分の理想を追い続けた。
最後にたどり着けたのかどうかは、
秘密主義のため、誰も知りえない。

どんなに才能があったとしても、
ひとっ跳びにワープするなんて、
人間誰もできないのだ。
その人なりの階段を、
一つずつあがって、
ターナーはターナーになった。