浅春日 川の流れに 逆らいて

誰でも一度は、運命の予感というものを抱いたことがあると思う。
この人と近しい関係になる。
あの土地に、きっと住むことになるだろう。
この街を、心の縁とするだろう。

一目惚れ、というのはいろいろに科学されて来ただろうけれど、
私は要するに予感なのだろうと思う。
八百万の神がそれぞれにささやいて、
教えてくれているのだろうと思う。

そうなってしまえば、予感というのはたいてい当たる。
一度気になったら、あなたからもう意識が離せない。 
隠れてそっと見たり、後で笑顔を思い返したりする。

それで誰かがそっと耳打ちしてくれる。
あの人、恋人がいるよ。
ゴールイン寸前だって。

予感というのは、逆らえないものだと思う。
だって八百万のささやきだもの。
それは幸せだけに進むものじゃない。
哀しさを抱えると知りつつも、
あなたは私の運命。