何にでも終わりがある。
そういったら寂しがる人もたくさんいると思う。
始まりがあって、終わりがある。
それは自然の、太古からの摂理なのだけれど。
何にでも始まりがある。
だが、その瞬間というのは意識しないものだ。
無我、というタイトルの絵があるとすれば、
それは幼児を描いたものばかり。
人生の始まった時期に、
それは実は終わりへの始まりだと気づくなど、
100パーセントといっていいほどないと思う。
人が子供を愛おしいと思うのは、
実は終わりを意識したくないからではないのか。
何も知らない幸せな時期。
そう形容されるということは、
要するにまだ、何かが終わることなど考えていない、
そのことに人々が郷愁をおぼえるからではないのか。
花が咲くということは、
何かが終わることなのだと、
ふくらみ始めた蕾を見ながら思う。