手叩けば おたまじゃくしの 目を覚まし

春が来たと行って嬉しがるのは、
生き物の性というものだ。
日射しの増す度、
温度の緩むごとに、
命の力が沸き出す。

その鳥の、その虫の、
そのおたまじゃくしの動き回る様が、
いかにも春を告げてくる。
体を伸ばして、命を歌おう。
言葉は違えど、そう語りかけてくる。

だから私も、流れに乗って、
あなたに電話をかけてみる。
春の雰囲気に力を得て、その番号ボタンを押す。
時間を合わせて、今度会いませんか。
人生で初めて誰かを誘う、
その勇気をくれたのは、春のなせる技。 

春というのは、いちばん勇気が出る季節なのかもしれない。